2010年04月07日(水)池田まき子著『木の声が聞こえますか』日本初の女性樹木医 塚本こなみ物語
岩崎書店より出版されます。
著者<池田まき子プロフィール>
1958年秋田県生まれ。児童書ノンフィクション作家。
雑誌の編集者を経て、1988年留学のためオーストラリアへ渡って以来、 首都キャンベラ市に在住。
主な著書に「命の教室 動物管理センターからのメッセージ」「夢をあきらめない 全盲のランナー・高橋勇市物語」(以上、岩崎書店)、「サケと『浅井っ子』のふるさと物語」(汐文社)、「こころ飛ぶ、いのち駆ける。盲目の馬・タカラコスモス物語」(主婦と生活社)、「地震の村で待っていた猫のチボとハル」(ハート出版)などがある。
<新刊の目次紹介>
「木の声が聞こえますか 日本初の女性樹木医・塚本こなみ物語」
はじめに
01 人々を魅了する大藤
02 大藤との出会い
03 女性で初めての樹木医に
04 よみがえった古木
05 引っ越しの準備
06 職人さんたちの協力
07 大がかりな引っ越し作業
08 二十キロの大移動
09 「大藤の花が咲いた!」
10 樹木医の務め
11 樹齢千年のモッコクの伐採
12 神が宿る樹木
13 生かされていることへの感謝
14 自然とのつながり
15 「藤を究める」ということ
16 大藤を後世へ
樹木医・塚本こなみさんからのメッセージ
おわりに

あなたには木の声が聞こえますか?
「木は生きている」「木にも命がある」ーーだれもが知っていることです。
けれども、人間と同じように、木にも心があることを知っていますか。
私たちが優しく接すれば、それに応えてくれることを知っていますか。
「木は大切にしなければならない」ーーだれもが知っていることです。
けれども、木を大切にするとは、どういうことでしょうか。
どうすれば、木を長生きさせることができるのでしょうか。
どうしたら、私たちは木を守っていけるのでしょうか。
木も人間と同じように、病気をしたり傷ついたりします。 けれども人間と違って、病気の痛みや苦しみを言葉で訴えることはできません。
そのような木と向き合い、木の心に寄り添って診断をしたり治療したりする「木のお医者さん」がいます。
塚本こなみさんは、女性で初めてその資格が認められた樹木医さんです。
古木の治療や、樹木をほかの場所に植え換える移植を全国各地で数多く手がけ、弱った木々を何度もよみがえらせてきました。
中でも、栃木県足利市にある「あしかがフラワーパーク」の大藤は、移植することは不可能とされていたものを、塚本さんが二年がかりで取り組み、成功させたことで知られています。樹齢百四十年の大藤は、移植から十四年経った今も、その樹勢は衰えることなく、たくさんの人々を魅了しつづけています。
塚本さんは樹齢が五百年、千年という古木や巨樹と出会って畏敬の念をいだくようになり、自然に対して謙虚になる姿勢を学びました。
そして、木の治療をするだけではなく、人間と木々との関わりや、人間と自然とのつながりについてのメッセージを多くの人に伝えていくことも、樹木医の務めではないかと思うようになりました。
樹木医さんからのメッセージーーそれは、そのまま木々が発した声であり、大いなる自然からの教えであると言えるのではないでしょうか。
私たち人間が自然に対してどうあるべきか、さらに、私たちがどのように生きていくべきかを考えていくうえでの道しるべとなるにちがいありません。