雨の似合う花菖蒲!
(2010/06/21)
梅の実を収穫する頃に雨がしとしとと降り出す頃を梅雨と言う。そんな季節に移りました。園内は例年より1週間ほど遅れて花菖蒲の展示に追われています。
花菖蒲は1年間の管理がとても手間が掛かります。株分け、植え付け(鉢上げ)、除草、施肥、水管理、展示と年間通して600人ぐらいの手が必要とされますが美しい瞬間は10日ほどです。
手を懸け、こころを懸けて育て、その短い花の美しさを楽しむ。日本の花の文化の象徴のような花ですが、私たちの心を優しく包み、日本の美を、梅雨どきの風情を十分に楽しませてくれます。豊かな緑と、池水、雨、花菖蒲の組合せは格別です。心がほっとする静かな園内は雨が良く似合います。
今月15日に石川県能登町の常椿寺さんにお声をかけていただき、石川県の天然記念物に指定されている境内のフジの診断に行ってまいりました。フジの周辺のタブの巨木群に支えられている自然樹形のフジです。
棚仕立てではないフジとしては国内で最も太いのではないかと思われるほど素晴らしい姿に感動いたしました。タブの木はフジに覆われて少し樹勢が弱ってきています。将来タブの木が弱れ、倒れてしまうとフジも一緒に倒れる事になります。なんとかフジとタブの共生を考えなければなりません。その手法をお伝えしてきました。
その後、常椿寺さんの庫裏にご案内いただき、ご夫妻のお話をお聞きいたしました。
その話の内容は30数年前、原爆の図をおかきになった丸木伊里画伯夫妻がお見えになり周辺の景色が余りにも美しいため、数日、庫裏にお泊まりになった。朝早く気づくと襖4枚に松竹の図、裏側には梅の図が描かれていたというのです。そしてその交流は10年も続き、藤の花の咲く頃にもよくお見えになったとのことでした。
「このフジから素晴らしいご縁を頂きました。私たちの宝物です。」と感慨深くその当時の事をお話いただきました。その襖絵を拝見しながら私もフジを愛する一人としてとても嬉しく、フジの取り持つお話に感激いたしました。
フジの魅力をまたひとつ教えて頂いた旅でした。樹恩。
園長 塚本こなみ


